買い物に行くのに愚図ってた彼は、置いてきぼりで独りぼっちになった。
1階は全部閉まってる。
・・・
ふと2階を見ると、窓が開いている。
暇を持て余してた彼は考えた。
「そうや、これ(日よけ用ブライドの網)のぼったらええやん」
普通は誰も思いつかないことだ。
そんなことしたら網が破れるし、落ちたらきっと痛いはずだ。
それは2つの網を適当に取り付けた父が一番知っている。
「ようし、台をおいてこのまんなかに足をひっかけて、のぼったらええ」
彼はワクワクしてたんだろうな。
手と足で網をつかんでよじ登る。
2階のベランダまであともう少しだ。
2枚の網はぐらぐらするけど、ぼくは負けないぞ。
よっしゃー2階の柵に手が届いた。
「あせらず あわてず あきらめず」
彼は、アテネで金メダルを取った柴田さんのように心で励ましながら登ったんだろうか。
そして彼はついに登りきったのだった。
2階から子ども部屋に入った彼はこう叫んだそうだ。